インフルエンザの知識とインフルエンザへの対処の索引

子供がインフルエンザに感染したのではないかと思われる場合の対処方法

2009年の8月中旬ごろから、新型インフルエンザ(new influenza A(H1N1))が流行っています。

このインフルエンザの毒性は今のところ高くないのですが、これに対しての免疫を持つ人が90歳以上の高齢者を除いてほとんどいないので非常にかかりやすい状況のようです。

また、免疫を持たないウイルス感染と言うことで、免疫反応が遅れて重症化したり、逆に免疫反応が過剰に働いてさまざまな望ましくない症状が出ることも多くて、重症化する率が通常のインフルエンザよりも高いようです。


妊娠中、生活習慣病を持つ方、呼吸器疾患、腎臓疾患、その他さまざまな免疫力の落ちている状態の方々は注意してください。


お子さんがインフルエンザにかかったのではないかと思われる場合の対処法のみ、書いておきます。

まず、インフルエンザじゃないかと疑う根拠ですが、


1.一緒に遊んだ近所のお友達や家族、親せきに明らかにインフルエンザと診断されたものがいる、あるいは風邪が流行っている。

2.風邪症状、下痢、おう吐、発熱などのいわゆる風邪症状(消化器症状も含む)を呈している。


この二つがそろったところで、まずは疑ってかかってください。


でも、ここであわてないで。

普通の風邪のこともありますし、インフルエンザでも軽くて済むことも多いのです。

発熱が38度程度までであれば、おうちで安静にして、頭部や頸部を冷やして上げるだけで回復します。

下痢を伴う場合にはポカリスエットなどで栄養補給をきちんとしましょう。


病院に行って他のウイルスやバイ菌をもらうよりもその方が安全ですし、子供も楽です。


ただし、以下の場合は別です。

上の二つのどちらか一方だけの場合でも、以下の基準に合う場合はインフルエンザを疑って病院に問い合わせるなどの行動をおこしてください。


3.38.5度以上の急激な発熱がある。

4.神経症状がある:壁にドラえもんがいる、などと、ボケたことを言うが、冗談ではなくて本気でそう見えている。
          突然部屋を出て行って廊下でおしっこをするなど奇異な行動がある。
          話しかけでも返事のろれつが回らない。


インフルエンザ脳症の頻度はそれほど高くないのですが、起こってしまったら一刻も早い集中治療が望ましいです。

頻度が低いのでタミフルやリレンザの効果については正確にはわかりませんが、至急、抗インフルエンザ薬を服用させることをCDCでも推薦しています。

関連文献
  MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2009 Jul 24;58(28):773-8.
Neurologic complications associated with novel influenza A (H1N1) virus infection in children - Dallas, Texas, May 2009.
Centers for Disease Control and Prevention (CDC).


現在、新型インフルエンザウイルスの感染爆発がどの程度の勢いで広がるのかよくわからない状況です。

2009年8月中旬の時点で推定患者数は11万人です。

しかしながら、高熱が出る患者さんは1/3程度と言うことですし、1/3の患者さんでは発熱がなくて、症状も非常に軽いようです。


症状の軽い患者さんはできるだけ自宅で自力回復に努めて、病院に殺到することで医療崩壊を加速しないようにしましょう。

インフルエンザの治療と妊娠

インフルエンザにかかるのは子供だけではありませんね。
妊婦さんもかかります。
このときに治療をどうするかなんですが、

まず、タミフルですが、これでどうなるかというのは
妊娠初期には子供の精神疾患が発症する確率が
数倍高くなるという報告がある様です。

文献の原文を読んでいないので詳しいコメントは避けますが。

少なくとも、
続きを読む

インフルエンザワクチンの注意点

インフルエンザワクチンの注意点


以下の方々は、インフルエンザにかかると重症化しやすく、
またインフルエンザワクチンの接種による効果が認められているため、
定期の予防接種の対象となっています。

予防接種を希望する方は、かかりつけの医師とよく相談のうえ、
接種を受けるか否か判断してください。

65歳以上の方

60〜64歳で、
心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、
身の周りの生活を極度に制限される方。

60〜64歳で、
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、
日常生活がほとんど不可能な方。



逆に、摂取できない方は以下の方々です。

<予防接種実施規則第6条による接種不適当者>

接種当日、明らかな発熱を呈している方
(通常は、37.5℃を超える場合をいいます。)

重篤な急性疾患にかかっている方。

予防接種の接種液の成分によって
アナフィラキシーショックを呈したことが明らかな方。

インフルエンザの予防接種で、
接種後2日以内に発熱のみられた方、及び
全身性発疹等のアレルギーを疑う病状を呈したことがある方。

過去に免疫不全の診断がされている方。




接種は地域の医療機関、かかりつけ医などで
インフルエンザワクチンを受けることが出来ますが、
自治体によって期間や費用は異なります。

インフルエンザワクチン接種可能な医療機関や地域での取り組みについては、
地域の保健所、医師会、医療機関、かかりつけ医などに問い合わせてください。

なお、予防接種法に基づく65歳以上の定期接種の対象者については、
接種費用が市町村によって公費負担されています。

インフルエンザの治療、家庭でできること

インフルエンザの治療は病院の処方に従うのが原則。
とはいうものの、家でできることもあります。

まず、解熱をどうするかです。
発熱は本来ウイルスに対する身体の防御機構です。
すべての医師の意見が完全に一致しているわけではありませんが、

大人で体力がある人は
基本的に解熱剤は使わない方が早く治ると考えられます。
小児に対しては先ほど述べたアセトアミノフェンのみで。

でも、たいしたことがなければ
発熱に対しては、十分な水分とミネラルを補給してください。
そして氷枕などでまず物理的に冷却する方がよいでしょう。

わきの下や足の付け根を冷やすのも効果的です。
小さいお子さんで急に下げたいときには
試してみてください。


また、インフルエンザはどのぐらいたてば
治ったと判定していいのか?

一般的に、インフルエンザは、症状を発症してから
3〜7日間はインフルエンザウイルスを排出すると言われています。
ウイルスを排出している間は、患者に感染力があります。

排泄されるウイルス量は解熱とともに減少し、
排出期間の長さには個人差があります。
抗ウイルス薬を飲めば速やかに量は減りますが、
感染になくなるわけではありません。


咳などの症状が続いている場合には、
咳やくしゃみをする際にはティッシュで口元を覆う、
あるいはマスクをするなど、周囲への配慮が望まれます。

インフルエンザウイルスは湿気に吸着されやすいので、
室内の湿度を高く保つことが大事です。
たとえばぬれタオルをぶら下げておく。

これにより、浮遊するウイルスをタオルにトラップできます。
タオルは洗えば大丈夫です。


なお、小児の場合ですが、学校保健法では、
「解熱した後2日を経過するまで」
をインフルエンザによる出席停止期間としています

インフルエンザと解熱剤・・・インフルエンザ脳症について

インフルエンザと解熱剤について、
そしてインフルエンザ脳症について
簡単に触れておきます。

さきほどのタミフルと異常行動のところ、
タミフルで異常行動を起こすのは小児、ティーンエイジャーまでです。

一方、小児のインフルエンザでは
インフルエンザ脳症というものも問題となっています。

インフルエンザ脳症はティーンエイジャーというよりは
主に小学校低学年以下の幼小児ですね。

インフルエンザ発症初期に高熱が出て、
それにひき続いて劇症の脳炎が起こるものです。
起こってしまえば高率で致死的であるのと、
解熱剤で無理に熱を下げるのがよくないのではないのかと言われていました。

そして本体はインフルエンザと言うよりは、
身体が過剰に反応するサイトカイン脳症ではないのか、
そのようなことも言われていました。

10年ほど前からすごく問題になっていましたが、
どういう人が、どういうインフルエンザで発症するのか
しばらくの間はなぞでした。いや、今もなぞです。

でも、いくつか解決の糸口が見えつつある、かもしれません。

ひとつは遺伝子多型の検索で、ある遺伝子の特徴を持つ人が
脳症を起こしやすいことがわかってきました。

そしてもうひとつは、NSAIDsと呼ばれる解熱剤の一部、
ボルタレンなどが発症のきっかけとなる可能性が高いことがわかりました。

さらに、インフルエンザB型が実は発症に深く関わることも
可能性として提示されています。

これらのことから適切な抗ウイルス薬の使用と、
安全な解熱剤治療で、発症予防に努めながら
遺伝子レベルの研究が進むのを待つ。
現段階ではこれが最善の策ということになります。

ここでも、速やかな診断と抗ウイルス薬の投与。
以下に速やかに受診するかが鍵になります。

でも、間に合わないときには熱を下げたいですよね。
そういうときにはどうすればいいのでしょうか?

具体的には、解熱剤に関して言えば
小児ではインフルエンザでの解熱剤の使用は、
アセトアミノフェン以外は危険とされていますので、
これ以外は使わないで下さい。

小児用バファリンがそれです。

インフルエンザの治療薬

インフルエンザの治療薬として、今では特効薬があります。
どんな治療薬があるのでしょうか?

(タミフルで異常行動が出た例が報道されたが、大丈夫?)

インフルエンザに対する治療薬としては、

三種類の抗インフルエンザウイルス薬
(リン酸オセルタミビル=タミフル、
 ザナミビル水和物=リレンザ、
 塩酸アマンタジン=シンメトリル)
があります。

ただし、その効果はインフルエンザの症状が
出はじめてからの時間や病状により異なります。

したがってかかった人の誰もが恩恵にあずかれるわけではありません。
使用する・しない は医師の判断になります。

ウイルス疾患と言うものは長い間、攻略できない難敵でした。
ヘルペス疾患治療薬であるガンシクロビルの発見のあと、

HIV(エイズウイルス)の大流行まで、
人類は有効な抗ウイルス薬を開発できずにいたのです。

ところがHIVの克服のために世界中で大金が投じられ、
最近になってHIVはかなりコントロール可能な疾患になりました。

インフルエンザに関しても三種類の特効薬が見つかったのですが、
面白いのはその中の「アマンタジン」などは
別の病気の治療で古くから使われていた薬だったことです。

漢方薬の中にもまだまだいろんな可能性の薬が残っていると思われます。

・・・脱線しましたね(笑)。

インフルエンザの話に戻りましょう。

抗インフルエンザウイルス薬を適切な時期、
発熱=発症から48時間以内に服用を始めると、
高熱期間が1〜2日短縮され、ウイルス排泄量も減少します。

抗インフルエンザウイルス薬の効果が認められれば、
12〜24時間以内に解熱します。

これは経験された方も多いと思いますが、本当に劇的なのです。
こういう薬が開発されて、本当に良かったなと思います。

しかし、このときに注意すべきことがあります。
これは、内服を中止すると再発しやすいので、
薬の内服はぜひ続けてほしいということです。


体調が元に戻るには一週間はかかります。

タミフル(A、B型両方に効果)、
リレンザ(吸入薬でA,B型両方に効果)、
シンメトリル(A型に効果)は

5日間、朝夕2回服用、または吸入します。
この服用期間は症状の有無に関わらず、守ってください。
抑え込んでいるだけで、まだ治っていないのですから。


この服用期間を守ること、あなたの身体のためだけでなく、
みんなのためにも大切です。
中途半端な服用でウイルスを中途半端に抑えていると、
耐性ウイルスの出現を促しかねません。

インフルエンザウイルスが薬剤耐性変異を起こさない為にも
きちんと決められた量と日数を守る事が必要です。


なお、医療機関に行けば症状を見て、
抗ウイルス剤だけでなく、解熱剤や抗生剤も出されるかもしれません。

解熱剤は症状を抑えるからともかく、
抗生剤はなぜ?そう思われるかもしれませんが、

抗生剤はインフルエンザウイルスには効きませんが、
高齢者や体の弱っている方には、
肺炎、気管支炎などの合併症を防ぐために抗菌薬が使用されます。

また、のどをひどく傷めている場合にも
そこからの二次感染を防ぐために処方されます。

医療機関から出された薬は、自己判断で服用を中止することは
絶対にやめてください。
どうしてもやめたければ、電話で尋ねるなり、確認をお願いします。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。